鉛筆を削る2024年12月06日 13:07

息子が小学生になって、
息子の鉛筆をカッターで削る日々になった。
母がカッターで削ってくれていたから、
そういうものなのかなと思って、
自分もカッターで削りはじめただけのことである。

うちは自営業で、母も忙しく働いていたから、
鉛筆削り器で削ったら、
少しはラクであっただろうに。
子ども、三人分の鉛筆を削っている母の背中には、
執念のようなものがあったなと、思い出されてくる。

ふと、学校で筆箱を開いたときの自分の感覚が蘇る。
母の削った鉛筆をみて、何かほっとした感覚があったなと。

母の削った鉛筆が、自分のお守りのようになっていたのだなと、
今の自分が理解した。

「母」という「いきもの」に、自分も今、なっている。
あの時の母の、何としても鉛筆は自らの手で削るのだという、
覚悟のような、強いおもいは、
「母」たるものに宿る、愛のひとつのかたちであったのだろう。